002_習慣が人生をつくる

人間は習慣の生き物である

哲学者ジョン・デューイは「人間は習慣の生き物である」と語りました。日常を振り返れば、私たちの行動の多くが習慣に支配されていることに気づきます。朝起きて顔を洗う、電車で同じ位置に立つ、仕事の合間にスマホを眺める──これらは意識するまでもなく繰り返される行為です。

「変化のない日常を変えたい」「同じ仕事ばかりで飽きてしまう」といった不満も、裏を返せば習慣の力の証です。人間は習慣に縛られるがゆえに「変わりたい」と願いながらも、なかなか変われない。その矛盾が、日常の倦怠感や苛立ちを生み出すのでしょう。

良い習慣は難しく、悪い習慣は続く理由

なぜ、人間は「良い習慣」を続けにくく、「悪い習慣」には簡単に溺れてしまうのでしょうか。それは人間が本能的に「楽な方向」へ流されやすい存在だからです。二度寝や動画視聴は、たとえ無駄とわかっていても、心地よさゆえに繰り返してしまう。逆に、運動や学習といった努力を要する習慣は、意志の力がなければ定着しにくいのです。

楽天の三木谷浩史氏が紹介した次の数式は、習慣の影響力を端的に示しています。

1.01^365 = 37.78
0.99^365 = 0.025

これは、毎日「通常の1」にわずか0.01の工夫や努力を加える人と、逆に0.01ずつ怠ける人との差を表しています。1年間で、前者は約38倍もの成長を遂げるのに対し、後者は限りなくゼロに近づいてしまう。ほんの小さな積み重ねが、人生を大きく分けるのです。

つまり、良い習慣を持つかどうかが、人の可能性を決定づけるといっても過言ではありません。

習慣を味方につけるために

では、どうすれば良い習慣を定着させることができるのでしょうか。心理学の研究によれば、人間はおよそ21日間、すなわち3週間同じ行動を繰り返すことで、それが習慣化されると言われています。逆に言えば、最初の3週間を乗り越えられるかどうかが勝負なのです。

「3週間なんて大変だ」と思うなら、まずは「3日坊主でもいい」と割り切ってみる。あるいは「毎日30分だけ」「3分だけ」と小さな努力を積み重ねる。重要なのは、行動を始めるハードルを極限まで下げることです。小さな一歩を繰り返すうちに、それはやがて大きな流れとなり、自分を望む方向へと押し出してくれます。

習慣を変えることは、自分の未来を変えることです。他人と比べる必要はありません。「昨日より少しだけ前に進んだ自分」をつくること。それを積み重ねることこそ、習慣がもたらす最大の恩恵なのです。

私たちは習慣の奴隷であり、同時に習慣の主人にもなれます。悪い習慣に流されれば、人生は容易に浪費される。しかし、良い習慣を味方につければ、人生は驚くほど豊かに変わる。

「人間は習慣の生き物である」というデューイの言葉は、単なる観察ではなく、生き方への示唆です。いま目の前にある小さな習慣を選び直すことから、あなたの未来は大きく書き換えられていくのです。

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