現代は情報の時代です。SNSやニュース、書籍や動画──私たちは常に新しい刺激にさらされています。「これをやってみたい」「自分もこう生きたい」と心を動かされることは多いでしょう。けれども、いざ行動に移せず、結局いつもと同じ日常を繰り返してしまう。そのことに不満を抱えている人も少なくありません。
ではなぜ、人は「やりたい」と思っても一歩を踏み出せないのでしょうか。
第一の理由は、リスクを必要以上に大きく見積もってしまうことです。理想の自分を思い描いたとき、人はまず夢に胸を膨らませます。ところが調べれば調べるほど、「自分にできるだろうか」「膨大な時間や費用が必要ではないか」と不安が膨らみ、結局動けなくなってしまうのです。
第二の理由は、調べることで満足してしまうことです。成功者の体験談やノウハウを読みあさるうちに、あたかも自分もその世界を知ったかのような錯覚に陥り、最初の熱が冷めてしまう。情報収集が「行動した気分」を与えるだけで、実際の行動を奪ってしまうのです。
どちらも人間に備わった自己防衛本能の表れといえます。しかし、その心理に支配されていては、いつまで経っても人生は変わりません。
だからこそ「即行動」が重要なのです。「思い立ったが吉日」ということわざの通り、余計なことを考え出す前に動いてしまうことが、人生を変える最良の契機となります。
確かに行動には失敗のリスクが伴います。しかし、その多くは致命的なものではありません。むしろ「行動しない時間」こそが、人生において最大の損失です。失敗は経験として次の成功を支える土台となりますが、何もせずに過ぎた時間は、決して取り戻せません。
哲学者ジェームズ・アレンはこう語りました。
何をすべきかをじっくり考えなさい。ただし、行動すべきときには躊躇せずに実行することです。
私たちが過去を振り返れば、「自分にできるだろうか」と疑っていたことでも、始めてみれば案外面白さを見出し、上達していた経験があるのではないでしょうか。行動は、自己不信を打ち破る唯一の方法なのです。
実業家・三木雄信氏はこう述べています。
行動を起こせば、失敗のリスクも生まれます。しかし、行動することで「できること」を見つけ、それを積み重ねていくことでしか成功に近づくことはできない。
「即行動」とは、軽率に飛び込むことではありません。行動によってしか人生は変わらない、という真理に気づき、思考の惰性を断ち切る勇気を持つことです。
情報が溢れる現代だからこそ、行動しない理由を探すことは簡単です。しかし、それを超えて「まずやってみる」ことが、唯一の突破口なのです。

